エネルギー平衡方程式とポインティングベクトル

最終更新日: 2012-01-26

連続の方程式の一例.

電磁場に対するエネルギー平衡方程式というのがある. \begin{equation} \frac{\mathrm{d} u(\bm{r},t)}{\mathrm{d} t} + \bm{\nabla} \cdot \bm{S}(\bm{r}, t) = - \varphi(\bm{r}, t) ,\end{equation} ここで,$ u(\bm{r},t) $は電磁場のエネルギー密度で, \begin{equation} u(\bm{r},t) = \frac{1}{2} \epsilon_0 E^2 (\bm{r}, t) + \frac{1}{2 \mu_0} B^2 (\bm{r}, t) ,\end{equation} $ \bm{S}(\bm{r}, t) $はエネルギー流束密度で, \begin{equation} \bm{S} (\bm{r}, t) = \frac{1}{\mu_0} \bm{E}(\bm{r}, t) \times \bm{B}(\bm{r}, t) ,\end{equation} そして,$ \varphi(\bm{r}, t) $は一般化されたジュール熱(単位体積当たり) \begin{equation} \varphi(\bm{r}, t)=\bm{J}(\bm{r}, t)\cdot\bm{E}(\bm{r}, t) .\end{equation}

英語では energy balance equation である. 個人的には日本語の「平衡」は物理では equilibrium になると早とちりしていた. つり合いという意味でも平衡と言うのだった. この式は,連続の方程式 \begin{equation} \frac{\mathrm{d} u(\bm{r},t)}{\mathrm{d} t} + \bm{\nabla} \cdot \bm{S}(\bm{r}, t) = 0 \tag{2} \end{equation} の拡張になっている. これは電磁場のエネルギー密度が保存するという式.電荷が保存されるという電荷密度$\rho(\bm{r},t)$と電流密度$\bm{j}(\bm{r}, t)$に対する連続の方程式 \begin{equation} \frac{\mathrm{d} \rho(\bm{r},t)}{\mathrm{d} t} + \bm{\nabla} \cdot \bm{j}(\bm{r}, t) = 0 \end{equation} を思い出すとイメージしやすい. 電荷は絶対量として減ったり増えたりせず,ただどこかに移動するのみであるという意味. その移動する量が電流密度であるということ. 話を戻してエネルギー密度に対する連続の方程式と,始めのエネルギー平衡方程式とを見比べると,ジュール熱が発生しないというのだから,エネルギーは熱に変わらずに保存されるということ. 逆に言えばジュール熱が発生する場合にも適応できるものがエネルギー平衡方程式ということになる. エネルギー流束密度はポインティングベクトルとも呼ばれる. 電荷の連続の方程式では電流密度と対応している. つまりポインティングベクトルは電磁場のエネルギーの流れを表している. ポインティングベクトルには物理的にしっかりとした意味があるのである.